著者あとがき
こんにちは。作者の山口絵理子です。この絵本は実際に私が経験したことを元に描いています。
バングラデシュに渡ったのは22歳の時、当時バングラデシュはアジアで最も貧しい国でした。だからこそ、国際援助やボランティアに興味があった私は、大学院生として首都ダッカに2年間滞在し、絵本の中の出来事を経験してきました。
貧しい、怖い。発展途上国には、ネガティブなイメージがありました。実際に、毎月のストライキや洪水、路上で寝る子供たち、日本の生活とは全くかけ離れた世界を目にしました。
そんな時に、現地のみんなが「僕たちの黄金の糸なんだ」というジュート(黄麻)に出会い、私はどんな国にも光る素材があることを知りました。
「このジュートを使って、かわいいバッグ、かっこいいバッグを作りたい」と思い立ち、絵本に描かれているようなプロセスを自分の目で、足で歩いてきました。
素材だけではなく、どんな国にも可能性のある人たちがいることを私は知りました。あるいは、「貧しい国は貧しい品質しか作れない」という既成概念の中、チャンスがあり、頑張る方向性がきちんと見えたら、みんな絶対に頑張れるということを。
そんなことがこの絵本の裏側にあるエッセンスであり、子供たちにもそんなことを読み聞かせながら伝えていただけたら嬉しいです。
全ての子供たちの可能性を信じて、伴走していけば、必ず素晴らしい未来が待っていると私は信じています。